絶対運命黙示録

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休職日記③ 縫い、断つこと


 休職してからはなぜだか無性に縫いものがしたくて、かたかたとミシンを鳴らしている。なにをつくっているかというと、かばんである。

 


 病院の帰りに近くにあった手芸店にかばんをつくるためのレシピつきの生地セットが売られていて、つい買ってしまった。マチつきのすこしむずかしい設計で、手こずったけれど、もくもくと作業をすすめるのは楽しかったし、ひさかたぶりに集中するということができた。

 Instagramでインド刺繍リボンの綺麗な写真をみてからは、インド刺繍リボンをつけたかばんがほしくてリボンをネットで買い、もともと持っていた布でみようみまねのかばんづくりをはじめた。

 直線ががたついていてところどころぼろが出ている。とてもきれいなできとはいいがたいが、それでもなかなかいいんじゃないか。なによりデザインが気に入っている。

 そしてあることに気がついた。これってすごく数学的な思考を必要としているのではないか?

 


「女子は文系脳、男子は理系脳」とは男女格差を肯定するひとの意見。だが、ほんとうにそうか?むかしから手芸は女性の領域とされてきた。というか女性の領域のほとんどは手芸や料理などの家事に限られてしまっていた。イエに閉じこめられてきた。それなのにそういうことには数学的思考が必要とされる。矛盾だ。

 


「でも、裁縫にしろ料理にしろそれでひとり立ちしてきたのは男性のほうでしょ?」とは母の言。

 男性が女性の領域とされる手芸や料理にふれる(そしてそれでひとり立ちする)きっかけについてはたいへん興味があるがそうじゃない。それは男性にとって優位な社会ができていたからだ。数学的思考のグラデーションのなかで、男女差などほんとうはないのだ。

 

 

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 できあがったかばんのうちひとつは祖母が材料費に色をつけて買ってくれた。どっとはらい