絶対運命黙示録

だいたいツイッターにいます@wenoim

2022-01-01から1年間の記事一覧

物語をいかにして得るか

私はもろもろの事情により以前のようにばりばり本が読めない。活字を追うのがつらい。 それでも本が好きだし、文章としての物語が必要だなとおもう。 小川洋子は『物語の役割』のなかで以下のように述べている。 「非常に受け入れがたい困難な現実にぶつかっ…

これまでのふりかえり

今までに出した同人誌やZINE、寄稿などをまとめていこうとおもう。 〈同人誌〉 ・『オタク・アイデンティティズ』(2021年) ・『オタク・アイデンティティズ2 推しとルッキズム編』(2022年) ・『いつかのあなたへ』(2021年) 〈ZINE〉 ・『果ての向こう側日記…

名前のこと

みおというのは本名である。「美緒」という漢字がついているが画数が多くてあまり好きではない。もともとは親が古風な名前をつけたくて、時代劇に登場するような「澪」という字を当てたかったそうなのだが、さんずいがついていることを祖母たちが気に入らず…

休職日記③ 縫い、断つこと

休職してからはなぜだか無性に縫いものがしたくて、かたかたとミシンを鳴らしている。なにをつくっているかというと、かばんである。 病院の帰りに近くにあった手芸店にかばんをつくるためのレシピつきの生地セットが売られていて、つい買ってしまった。マチ…

休職日記② まなざすこと

きのうは東京で宝塚をみてきた。職場のひとに遭遇するかもしれないから、都内に出るのは緊張する。仕事をしていないのに娯楽はしていて、(療養中なのだからできることをしているだけいいのだろうけど、)うしろめたさがある。 雪組の『蒼穹の昴』をみた。西太…

休職日記① 本と花を買うこと

2640円の本を買った。たった2640円を出すだけなのに、すごく悩んでしまって、30分くらい売り場とレジの間を往復した。もし差別的な内容だったらどうしよう、おもしろくなかったらどうしよう、そもそも読めなかったらどうしよう……などなど。 1か月の休職を職…

国際女性デーにミモザが買えなかった女より

2022年3月8日。 ウィメンズマーチの集合場所へ向かう前に花屋をみていた。国際女性デーのシンボルとなっているミモザを買うためだ。プラカードの代わりである『女子力の遺影』は持っていたけれど、抱えるほどのミモザも持てたらどんなにすてきだろう、と考え…

語るほどのことがなくても

書いている。すごいものになるわけではないが、文章を、書いている。 語るほどのことはない、とおもっている。語るべきことはもう語り尽くしたと。 それでも人生は続いている。生きているかぎり別れもあれば出会いもある。だから語ることって案外増えていく…

体型を気にしてしまう

太ってる、痩せてる、同じくらい、痩せてる、痩せてる……。 外に出るといつもほかの人がじぶんより太っているのか痩せているのかを気にしてしまう。 体重が増えた。春から10キロ近く太ったんじゃないかとおもう。数字を見るのが怖くてもう何年も体重計には乗…

音声入力を試みる

私は今、スマホに向かって話しかけています。私が話していることが、文字となって、あなたの視覚にうったえかけることになるというのは、とても不思議な経験です。 今日は花を見ました。ピンク色で大きな花びらをつけていて、とても見事に咲いていました。で…

遠くの海に消える

「SNSはメンタルにわるいからやめたほうがいいよ」 とはよく言われる。 たしかに、不特定多数の、それぞれがまったくことなるバックグラウンドを持ち、まったくことなる思考をすることがよくあらわれているSNSは、ときに攻撃的な言説であふれかえり、だれか…

ともにあることについて

ときどき、恋人の話がわからないことがある。本気で、なにを言っているのかがわからないのだ。 恋人は、いわゆる「トップクラス」と呼ばれるような大学の、いちばんむずかしいとされる学部を出ている。一方で私は中堅〜難関といわれるくらいの私立大学の文学…

語るほどのことがない

もう、なん年もまえからずっと、死にたいけど死ねない、とおもって生きてきた。私はいろいろのことを書くことができて、それを書かずにはいられない、と。私の書くことのできるいろいろのことは、それこそ見たものだったり、かんじたことだったり、かんがえ…

あなたがいてもいなくても

「私といるときはみおさんに楽しさや安らぎを与えたい(要約)」 と恋人に言われた。恋人は私が過去に受けた性暴力やハラスメントなどなどを知っていて、セーファーな存在でありたいのだそうだ。 話さなければよかったのかなともおもう。気負わせてしまった。…

「自分ひとりの部屋」を求めて

松濤から神泉のあいだ。美術館から駅に向かう途中。閑静な街並みが広がる。「ここら辺だとちょっと高いねえ」なんて言いながら恋人とランチをする。ランチが終われば神南のほうへ向かい服屋を見て回る。それに疲れたら紅茶専門店でお茶。なんてことのないミ…

「クィア」ということば

このあいだの海野弘『クィア・アートの世界』といい、今回のイソップのクィア・ライブラリーといい、「クィア」ということばが前面に出された本の出版やイベントが相次いでいる。 もともと、「クィア」とは「おかしな」、「奇妙な」、といった意味を持ち、そ…

恋愛>友情をやめたい

ともだちはたくさんいる。すごく恵まれていることだとおもう。ともだちたちとはときどきすれ違ったり、衝突してしまうこともあるけれど、なんだかんだでうまくやれている(と、すくなくとも私はそうおもっている)。 それなのにどうしようもなくだれかに必要と…

とくべつの相手がほしい

ここ最近はずっと出会い系で知り合ったひとたちと会ったりしていた。おたがいさぐりさぐりで、あまり深い話ができなかった。 最近あったおもしろかった話をしても相手はひきつったような笑みを浮かべて、「みおさんはずいぶんと変わった方なのですね」と言わ…

女子校が私たちを「人間」にするのか問題

小学校のとき、共学だった。男女比が5:12で女子の方が多かったうえに人数もかなり少なく、男女の違いなどをあまり意識するような年齢や環境ではなかったせいかそれぞれがそれぞれであった。児童会長も適性のある子が選ばれ、男子だったり女子だったりした。…

海野弘『クィア・アートの世界』雑感

きょうは『クィア・アートの世界』という本が発売されるらしい。とても分厚い本で、4,200円(+税)もするらしい。 ついにクィア・アートが大々的に研究された待望の一冊が出る!! これは今朝の私だ。ツイッターでこのような本が出るということを知り、ぜった…

私しかしらない

「これがほんとうの〇〇だ!」とか「これこそが真の〇〇の姿だ!」とかそういうことを謳った本がよく出回っている。そのおおくがむかしいたひとについてのもので、たいていは研究者のひとがかいている。 あるひとについて調べて論じるのはすごくむずかしくて…

暴力的な欲望と向き合う

"〇〇さんのような短歌を詠める人間になりたかった"、"△△さんのように緻密で鋭い批評が書けるようになりたかった"、とおもうことが多々ある。 私が修士時代をほとんどドブに捨てるような生活をしていたのもそうかんがえる理由のひとつかもしれない。ほんとう…

140字に踊らされたくない

ツイッターは反知性主義的である。140字の制限のなかでいかに「それらしい」ことが言えるかの勝負の場と化している。しかも「議論」ができるなんてかんがえる輩もいる。 議論というものはほんらい緻密に調査検討がなされたうえで成り立つものだ。140字の連な…

クソどうでもいいことに費やす

"〇〇さんが(私の嫌いな)××さんのことをフォローしている"、とか"〇〇さんは△△さんのことはフォローしているのに私のことはフォローしてくれない"、とかそういうことを気にしてしまう。 ほんとうはそんなことは気にしなくてもいいのに。たかがひとつのプラッ…

どうして神様はそんなさびしいものに人間をおつくりになったの?ひとりでは生きていけないように

ふだんは漠然としている希死念慮がはっきりとした輪郭をともなってあらわれるとき、私はほんとうに死んでしまいそうになる。(死ぬのはこわい。いやだ。なによりじぶんの感じていること考えていることがすべてなくなってしまうのがこわい)でもそういうときだ…

私たちになりたい

失恋した。2週間半まえに。 そもそも失恋したと言っていいのかすらわからないほど淡く短い恋だった。相手のことを私はよく知らなかった。それでも、好きだった。これからもっと好きになるだろうと思っていた。 突然、相手から恋人ができたという報告のような…

感染記録

8月8日 ホーミーが歌いづらい、喉に違和感。 8月9日 だるい、悪寒、節々の痛み、頭痛、微熱などの症状が出る。抗原検査の結果陽性。熱が徐々に上がる(それでも37.3℃くらいまで)。発熱外来に電話をして抗原検査で陽性だったことを伝えてもどこも予約で埋まっ…

恋は罪悪、そして麻薬

「しかし君、恋は罪悪ですよ。わかっていますか」(註1) 夏目漱石『こころ』で先生はそう言った。そうだそうだ、とおもう。恋は罪悪なのだと。 2020-21年のある時期、恋愛関係にあったひとがいた。彼女と彼女の周囲の人間と私はよく揉めていて、私は何度も彼…

とある魔女の話

ときは現代、あるところに魔女がいました。魔女はさいしょ魔女ではありませんでした。魔女はじぶんの愛する人の性別がじぶんと同じだというだけで魔女にされてしまったのです。 魔女は一途な魔女でもありました。一途であるがゆえに一途にひとを愛しつづけた…

黒井ひとみの紙を読むーーさびしい夜に

小指のさきから胸にかけてしん、と痛みがはしる。だれかに、あなたには才能があると認めてほしい。どうしても必要なのだと言ってほしい。そんな咆哮がからだからきこえてくる夜は、黒井ひとみの紙を読む。 さいしょに黒井ひとみを知ったのは昨年5月の文学フ…