絶対運命黙示録

だいたいツイッターにいます@wenoim

2021-01-01から1年間の記事一覧

女同士の賭けの話をしよう

女が女に人生を賭けること、それは「このひとのためならじぶんの人生すべてを投げ打ってもいい」となり、じっさいにそれを行動に移すことだとおもう。 『少女革命ウテナ』で天上ウテナが姫宮アンシーにさいごまで手を伸ばし続けたこと、アンシーがウテナの手…

さっき見た夢の話

具合が良くなく、ずっと寝ていた。そのせいで読書会にも参加できなかった。 寝ている間、夢を見ていた。小説を読む夢だったのだが、わりとよくできた夢で、小説の筋書きがきちんとしていた。 コロナ禍前の明治学院大学のダンスサークルが舞台となっていて、…

「東京」の人間にはなれない

見渡す限りネギ畑。ときどきビニールハウスや牧場があって牛の鳴き声がきこえてくる。それがわたしの住んでいる場所だ。 だが、そこから1時間かそこらで、1本の電車で川を渡ってしまえば「東京」がある。高いビルが乱立していて人ごみがあり、「東京」はいつ…

異性間の恋愛におけるクィアネス覚書①

私はパンセクシュアルでシスジェンダーの女性である。以前はレズビアンを名乗っていた。だが、初恋が男性であったことや、レズビアンと強く言ってしまうほど同性への恋愛指向があるわけではないと気づき、とりあえずパンセクシュアル、ということにしている…

生活の音

スーパーのレジ付近の音が苦手だ。バーコードを読み取るピッピッという音はそれぞれの店員の持つリズムに合わせてけたたましく鳴り響いているし、客が買ったものを袋に詰めるガサガサ、ゴソゴソという音もうるさい。できれば近づきたくない場所である。 そも…

贔屓の退団

まだまだこれから、という時期だった。学年が上がり、実力にさらに磨きがかかり、組内でも重要なポジションにつくようになってきたところだったのに。やめようとしていることにうすうす気づいてはいた。それでももう少しはいてくれるとおもっていた。つぎの…

もういないひとをおもい、自分を見つめなおす 仲山遥那「子袋の海をうつ」

死者の声はもう届かない。残されたわたしたちは彼ら/彼女らの生きたあかしをなんとか探し、そのひとたちの声として受け取っている。 仲山遥那による「子袋の海をうつ」は、優生保護法によってこどもを産めなくなってしまった今は亡き大叔母である明日子と主…

2021年9月16日

トータルで15時間寝ていた。高校のとき喧嘩別れになった女ともだちの夢を見た。彼女は私がさいしょに「魔女だ」と認識したひとだった。たくさんの事情を抱えていた彼女とはグループ内での諍いによって断絶してしまった。今となってはだれも腹のうちをことば…

映画『ブックスマート』感想 あたらしい指針

プライムビデオで映画『ブックスマート』をみた。この作品を映画館でみられなかったことをただただ後悔している。それくらいすごい映画だった。主人公たちの部屋に飾られたフェミニズム関係のポスターの数々、ことばの端々にちりばめられたフェミニスト的ジ…

パラダイスマドモワゼル

メモに残っていた。なんなんだ。 さいきんはずっと調子がおかしい。いや、さいきんではなくもっとまえからおかしかった。らしい。そのことに気づくまで半年近くかかった。こないだオンラインで学部時代の友人たちと飲み会をしたとき、ここ半年分の近況を報告…

とけてる

とけているのでぜんぶひらがなでかくことにした。ひらがなはとけているいめーじがあるがそのいめーじはどこからきているのだろうか。わからない。 わたしはわるいにんげんなのでこういうことをじゅぎょうちゅうにかいている。じゅぎょうではけんぽうをやって…

結婚した女ともだちへの呪詛

学部時代の女ともだちが結婚していた。だれにも言わずに。 それがわかったのはLINEの名前が変わっていたからだ。なんの気なしにトーク欄を遡っていたら見覚えのない名字がある。それがともだちだった。 さいしょ、私だけがそれを知らされていなかったのだと…

〈反婚〉のススメ

今日、私は従兄の結婚式に参列した。近い親類のみでの小さな式であり、そのうち婚姻関係を結んでいない女性は私ひとりであった。 私は今日を迎えるまで、ずっとピリピリしていた。理由はブーケトスだ。ブーケトスを受ける相手は私しかいないし、たったひとり…

ずるさと向きあうこと

私はずるい人間だ、と思う。たったひとつの言いたいことを幾重にも包装して相手に投げつける。ときどきはほかの人の言葉を借りたりして飾らせた言葉は、飾っているうちになにがほんとうに言いたいことだったのかを忘れさせ、そのたったひとつの言いたいこと…

オリンピック反対

私は今猛烈に怒っている。 東京でのCOVID-19の新規感染者が3000人に到達しようとしているのに東京オリンピックが開催されつづけるという事態に。 どうしてこんな事態になってまでオリンピックをつづけようと思うのか。国威称揚に利用されているな、と思う。 …

青山七恵『すみれ』感想

私はうつで、本がなかなか読めない。必死で文字を追っても目が滑って内容が頭に入ってこない。それでも調子のいいときには少しだけ読めるようになる。 本が読めない間、私はさまざまなことに想いを馳せる。今日もどこかで差別がおこなわれ、ひょっとすると自…

仕事をやめた2

私が仕事をやめたのは先日書いたような業務の負荷に耐えられなかったからだけではない。新卒採用マニュアル(どういう人材を採るのかということだけは書いてあった)の差別に加担したくなかったからだ。 具体的には、技術職で採るのは基本的に理系の健康な男、…

仕事をやめた

新卒で入社した会社を2ヶ月半でやめた。 なにもかもが限界だった。ほとんど社内規定のマニュアルを読むだけだった研修期間。初めて任された仕事はいきなり新卒採用担当。前年度の資料もマニュアルも引き継ぎもなく、よくわからない書類をよくわからないまま…

劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト考察と感想

※ネタバレを含みます。ご注意ください。 バロック=ポルトガル語の「歪んだ真珠」が語源とされているが、「規範からの逸脱」をあらわす形容詞ともなっている。 バロック美術は17世紀ヨーロッパ美術の傾向の一つとして捉えられる。特にカトリック諸国において…

友チョコ文化についての一考察

日本ではバレンタインデーに友チョコとして女性同士でチョコレートを贈り合う習慣がある。これはここ十数年の間に出来上がったものであり、比較的新しいものだ。 そもそも、日本でバレンタインデーに女性から男性へチョコレートを贈る文化自体が戦前〜戦後あ…

かつて女と女が手を取り合ったときに

私はここで、17世紀の女性画家による女性同士の連帯の表象がもたらしたものについて書こうと思う。 バロック期イタリアにはアルテミジア・ジェンティレスキ(1593-1653年)という画家がいた。彼女は画家の家に生まれたために小さなころから修業を積むことが…