失恋した。2週間半まえに。
そもそも失恋したと言っていいのかすらわからないほど淡く短い恋だった。相手のことを私はよく知らなかった。それでも、好きだった。これからもっと好きになるだろうと思っていた。
突然、相手から恋人ができたという報告のようなものが入った。足元が崩れていくような感覚がした。泣きながらたくさんのひとに電話をかけた。さぞや迷惑だったことだろう。
次の日には傷心旅行のつもりで関西に行った。たくさんの友人が私に会ってくれた。友人関係には恵まれているとつくづくおもう。
新しい出会いがあれば心も晴れるのではないかと堂山にも新宿二丁目にも行った。出会い系アプリを入れ、掲示板にも投稿した。いいひとはいなかった。
好きだった時間を、失恋後の時間が追い越していく。それなのにいまも心はあのときのままだ。
ほんとうに淡いものだったのだろうか。ほんとうは激情に駆られていたのではないだろうか。
激しく愛したひとに、私のことを好きになってもらいたい。そうでなくても友だちになりたい。私たちになってもらいたい。私とあなたの関係を、ことばでは規定できない特別なものにしたい。
だれかに、私と、私たちになってほしい。切にそう祈りながらきょうも眠りにつく。